ウィスキー片手に高校時代の思い出・最終話 ~思い出すことで・・・~

高校時代、確かに彼とは親友だった。
思い出もいくつも共有していた。

いや高校時代だけじゃなく予備校でも毎日一緒に過ごしていた。

ちょっとした歯車のずれ・・・。
お互いに引き返せなくなり、お互いに吐いた言葉をただ飲み込めなくなっただけ・・・。
なのにズレた歯車は噛み合う事もなく、距離だけがどんどん離れていった。

多分、あのちょっとした喧嘩がなければきっと、その後も色んな思い出を共有し、大人になっても一番の友人だったんじゃないかとその後何度も思った。

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時は大きく流れ、彼との再会はほんの数年前の事だった。

クラス会での再会だった。
実はクラス会はそれ以前にも何度か開かれていた。
お互いがお互いを意識していたのか・・・なんとなく避けていたように思う。

数十年ぶりにあったヒロ。
最初はどこかぎこちなかったけど、酒を酌み交わしながら思い出話を語り合ううちに少しずつわだかまりが溶けていくのをお互いに感じた。

「今はバスケットボールを教えているんだ」
と語ったヒロ。
「ガキどもが憎たらしいけど面白れぇわ」
とわざと悪ぶって言うところが彼らしいと思った。

本当は教え子たちがかわいくてたまらないのだろう。

その後も数回だが会う機会があった。
やはりクラス会だったと思う。

彼らしいヒロ節を聞くたびに、
「やっぱりウマが合うやつなんだよな」
と心の中では思うのだが、その後もプライベートで連絡し合う仲に戻れなかったのはやっぱり時間が経ちすぎたのかな。

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最後に会った時に、先のキャンプの話になったよな。

20年に一度の暴風雨という事件と釣ったアブラコの醤油焼きがやけに美味しかった事で盛り上がったね。

そして一緒にキャンプに行ったリョウ君が何年も浪人しようやく医学部に入り、これからというところで志半ばで亡くなった事。
ヤマちゃんが遠く九州に行った後は消息が分からなくなっていること。

「同じ思い出を持つやつらがここにいなくて寂しいな・・・」
と二人で話をしたよな。

そして・・・。

さっき届いたヒロの訃報・・・。

うそだろ?
オレはなんだか信じられないし、寂しいよ。

ごめんな・・・病気と闘っていたなんて知らなかったよ。

一度ズレた歯車は元には戻らなかったけど・・・。
間違いなく同じ時間を同じ思いで共有したよな。

さっき吉田拓郎の「外は白い雪の夜」を久しぶりに聴いたよ。

歌詞の最後の
♪Bye Bye Love 外は白い雪の夜~♪
♪Bye Bye Love そして誰もいなくなった♪
で文化祭を思い出し、文化祭とは違う涙が出たよ・・・。

「ネタにしやがって」
ってお前らしく悪ぶって言うだろうけど、笑って許して欲しい。

ヒロの事を思い出すのには文章に書くのがイイと思ったし、それが俺なりの供養だと思ってくれ。

大人になってからもっと飲みに行けばよかったな。
今日はヒロの事を思い出しながらお前が好きだったウィスキーを片手に文章を書いてみた。
ちょっと酔って文章もぐちゃぐちゃになってしまったが許してくれ。

楽しい時代を一緒に過ごしたよな!

どうか安らかに・・・俺なりの弔辞に変えて文章にさせてもらった。
献杯

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