八歳で閉じた扉と、開け直してくれた先生の話~「第六章|トランペットとの出会い」
リズム練習の毎日は苦痛だった。
いや、それは「寒さ」や「孤独さ」から来るもので練習そのものは楽しくもあった。
なんせ全く音楽の基礎がわかっていないのだからすべてが新鮮だったのも事実だ。
一か月以上はひたすらリズム練習だけを続けた。
ようやく試験をパスすることができた。
先生は私を楽器庫に連れて行った。
腕組みしながらしばらく考えた末、先生が取り出したのは、トランペット(コルネット)だった。
憧れの楽器だった。
ただし、すぐには渡されない。
マウスピースだけを手渡され、
「音階が吹けるまで練習せよ」
との指示。
再び寒いチューニングルームが私の練習場所となった。
それでも楽しかった。
リズムだけの練習より、ずっと。
やがて楽器を手にし、私は音楽の世界に足を踏み入れた。
—この出会いは、その後の人生へと静かにつながっていく。



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