八歳で閉じた扉と、開け直してくれた先生の話~「第五章|寒いチューニングルームで」
先生は厳しい表情で言った。
「同級生は一年半前から始めている。遅れは大きいぞ。本気でやる覚悟はあるのか?」
一瞬、ひるんだ。
それでも真っすぐに答えた。
「本気です」
翌日、音楽室で渡されたのは、ドラムスティックだった。
楽器ではない。
「まずはリズムだ」
その日から、寒いチューニングルームで一人、リズム譜と向き合う日々が始まった。
暖房はない。
合奏の音だけが、壁越しに聞こえてくる。
一か月以上、ひたすら叩いた。
孤独だった。
寒かった。
それでも、続けた。
—努力は、遠回りでも裏切らない。



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