北海道大震災 その02 ~街灯が消えている~

ベランダから外に出て見ると、チラホラと明かりが見えてほっとした。
(あー、この建物だけの停電かもな)
と思ったのだ。

すぐにその甘い考えは吹き飛ぶ。
いつも見える景色とは何かが違っていた。

向かいのコンビニが真っ黒なのだ。
そして、街灯の一切が消えている。
更には信号機さえも真っ黒で見える光は車のヘッドライトといくつかのマンションの共用部の明かり。
各家庭の部屋から漏れる明かりは一切無い。

テレビは付かないし、ポータブルラジオなんか持っていない。
青白い光を放つスマホを手にとってライトをつけると少し心が落ち着いてきた。

(そうだ、もらった電池式ランタン兼用懐中電灯があったな)

引き出しの奥から引っ張り出すも案の定明かりは灯らない。
あらためて別な引き出しから電池を探す。
予備を多めに買っておいて良かった。

その時両親、姉、4人の姪っ子で作ったグループLINEが流れて来た。
一番上の姪っ子からは驚きつつも無事を知らせる内容。
(そうだ実家に行かなきゃ)

電池式ランタンの電池を入れ替え、服を着て廊下に出る。
だが廊下の様子が何かがおかしい。

煌煌とついている非常用の明かりだけが理由ではない。

気づいたのはエレベーターだった。
エレベーターがあるはずのところが非常用の扉に閉ざされているのだ。

(そうか。当たり前だけどエレベーターは無理か)

非常階段の扉を開け階段を降りる。
明るく照らされる足元とは対照的に不気味な闇が街を覆っていた。

(続く)

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