ウィスキー片手に高校時代の思い出・その7 ~文化祭の思い出~

文化祭の事も書いておこう。

ヒロの部屋で何度も彼の歌声を聴いていた。
それはそれは上手いもんだった。
それでも
「ふむふむ、やるね!」
ぐらいの「感心する」というレベルの上手さだったと思っていた。

だが、文化祭は別格だった。

真っ暗な会場。
ステージに用意された2つの椅子にだけ煌々とスポットライトが当たっている。
ステージ袖の自分はめちゃめちゃ緊張していて手も足もがくがくしていた。

その日我々二人はクラスの出し物の縁日で使用した赤い法被を着ていた。
真っ赤な法被のヒロが「よし!行くべ!」という声で覚悟が決まった。

椅子に座り自分のギターでイントロが始まる。
初めてマイクを通して鳴り響いた自分のギターの音。
その心地よさで少しずつ落ち着いていく自分を感じた。

イントロが終わり、真っ暗な会場に彼の声が響いた。

その瞬間間違いなく見えないはずの会場の人たちの驚く顔が見えた。

そして何度となく歌声を聴いている自分にも鳥肌が立ったのを覚えている。
文字通り震えた。

歌詞の最後に
♪Bye Bye Love 外は白い雪の夜~♪
♪Bye Bye Love そして誰もいなくなった♪
というフレーズがあるのだが、その時はちょっと涙を浮かべていたかも知れない。

スポットライトで涙が光っていないか心配だった。

(つづく)

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