新札幌の名店「北の大地」が41年の歴史に幕

JR新札幌駅は毎日乗降客が28,000人ぐらいいるらしい。
コロナ禍で20,000人ぐらいに減ったとも聞くが、それでも札幌駅・手稲駅に続く3番目に乗降客数の多い駅らしい。

その新札幌駅のJRの改札を抜けてまっすぐ行くと「味の名店街」という飲食街がある。

JR利用者ならその存在を知らない人はいないだろうが、それでも利用したことの無い人も意外と多いのかも知れない。
地元の友人知人に聞いても
「新札幌まで帰ってきんだから、家でご飯をたべよう!って気持ちになるから利用したことが無い」
という人もいた。

その新札幌味の名店街には左手には龍竜、右奥には北の大地という2軒のラーメン店が並ぶ。
利用したことの無い人でも赤い看板が目立つ龍竜の存在は知っているはずだ。

ところが北の大地のことは
「あー・・・そういえば白い看板にラーメンってでっかく書いている店があるね」
という程度の認識の人も少なくない。

店名が「北の大地」という事が知られていない理由の一つに「店名はのれんにしか書かれていない」という事が挙げられる。

そしてこののれん・・・当然だが営業中にしか掲げられていない。

その営業時間が短く、営業日も少ない上に、売り切れなのか夜営業をお休みされることも多い。
幻ののれん・・・というと大げさだが、地元民でも店名を知らない人がいるのも無理からぬことなのかも知れない。

そんないわゆるハードルの高いお店なのであるが、私は個人的にかなりの頻度で利用していた。
とはいえ、コロナの影響もあり、ここ数年はちょっと訪問していなかったのだが・・・。

なんと2022年7月16日(土)で41年の歴史に幕を閉じるという。

ビックリである!
ショックである!
悲しいのである!!

3味(辛みそも含めると4味)全部が好きだが、個人的にはここの醤油ラーメンがかなり好き!

多めのラードで蓋がされたそのスープ。

映画ファブルの主人公佐藤が「あっつ!!」ってなるのと同じように

「あっつ!!」

ってなってのけ反るぐらい熱々スープ!(笑)

それがたまらなく美味しい!
冬の寒い日にこんなの食べちゃったら全身が喜んじゃう、温度だけでも「ご馳走」のラーメンだと思う。

森住製麺の麺がまた相性抜群で非常に美味しい!

別に特注麺という事は無いと思うのであるが、まさにこのスープの為に生れてきたように思うのである。

茎わかめのトッピングというのもなんだか嬉しい。

さて、札幌にはご当地ラーメンである「札幌ラーメン」とそれ以外の「札幌のラーメン」があると思う。
いわゆるそれらを合わせたものが札幌のラーメンシーンなのであるが・・・。

20年前とは比較にならないほどバラエティ豊かになった。
当時は札幌でラーメンと言えばこういった札幌ラーメンのスタイルのお店が大半だった。

そして食べる側もそういうラーメン以外は認めないというどこか排他的なところもあったと思う。

魚介香る中華そば系のラーメンに対して「魚臭いラーメンはNG」という人も少なくなかったはず。
今でこそ当たり前のつけ麺も最初は「なんだこの太いまっすぐな麺は」なんて声もあった。

時は流れて、札幌にも色々なラーメンが出てきた。

いや、出てきただけじゃなく、それを受け入れる札幌っ子の許容範囲が広がったという方が正しいのかも知れない。
いずれにしても様々なジャンルのラーメンが登場し、それを楽しめるようになっているのは間違いない。

だが時々ちょっと不安になることがある。

札幌ラーメンはあまりに身近すぎ、近くにあって当たり前すぎて話題性に乏しいのかも知れないが・・・。
身近に当たり前にご当地ラーメンである札幌ラーメンがあるから新しい味を楽しむ余裕があるという事はないだろうか?

例えて言うなら
家庭がしっかりしている→だから仕事に打ち込める→なので遊びも楽しい→結果家庭も上手くいく→・・・

というような、土台がしっかりしているから遊びも楽しめるという好循環が生まれるという事はないだろうか。

話題に上るようなお店ではないけど、好きな札幌ラーメンのお店があるから新しい味が登場してもそれを楽しめる!
そんな事はないかな。

少なくとも私自身はそんな風に思っている。

実際以前はテレビの取材協力の際に好きな身近な札幌ラーメンのお店を紹介すると、ディレクターさんから
「そういう普通のラーメンじゃなく変わっていて新しい味のお店のご紹介をお願いします」
と言われたことも何度かあった。

ユニークで新しい味の方が視聴率を取りやすいというももちろんわかる。

もちろん私自身もそういう新しい味やユニークな味のお店は大好きだし、喜んで情報提供をしていた。

だが、その裏にはやっぱり身近に食堂系ラーメンというか。。。老舗の札幌ラーメンのお店がいくらでもあったというのもある。
そういう店は個人で食べればいいだけだし。

ところがここ10年程・・・。
少しずつ少しずつ、人気があって地元民に愛されながら老舗札幌ラーメンの灯が消えていることに不安を感じているのも事実だ。

もちろん彩未を筆頭に純連やすみれ、信玄などなど札幌ラーメンでも別格に人気があって美味しいお店はある。
その系統のお弟子さんの独立店が生まれているのも嬉しい話題だ。

そしてそういうお店はこれからも地元民に愛されていくだろう。

だけど、ふと気が付くと・・・。
そういえば近所の味噌ラーメンの美味しいお店が無くなっちゃったけど、ほかに「普通に」美味しい札幌ラーメンの店って今はどこだっけ?
なんてことにならない事を願う。

話題に上らないけど、「歴史があって」「地元の人に愛されてきた」「普通のお店」というのが減っていることに危機感を感じていると言ったら大げさだろうか?

色んな新しい味が出てきてバラエティ豊かになった札幌「の」ラーメンシーン。
その一方でご当地ラーメンの「札幌ラーメン」のバラエティさが無くなっていることに勝手に不安を感じている。

家庭がしっかりしていないと遊びが楽しめないように・・・。
身近な札幌ラーメンが減ってきたときに、本当に新しい味が心の底から楽しめるだろうか・・・。

先日の華龍といい、続けての好きな老舗ラーメン店の閉店情報にちょっとセンチメンタルな気分になってしまった・・・。

小難しい話や理屈っぽい話はこの辺にしておこう。

北の大地・・・41年前からあるものの、実は私の初訪問は札幌に転勤して来てから初めて食べたのだからここ20年にも満たないと思う。
でも、初訪問からぶっ飛んだ!
ストライクど真ん中だったね~!

これこそメディアで紹介するようなお店じゃないけど、日常的に楽しめるお店の代表格だと思ったね!

ミシュランの3つ星は「遠くから足を運ぶ価値のあるお店」ということらしいが、ここ北の大地は「千歳空港から札幌駅に向かう途中に途中下車してでも食べる価値があるお店」として道外の友人たちに紹介してきた。

札幌ラーメンってこんな感じだよ!と知ってもらうには最適なお店の一つだった。
問題は営業時間も営業日も少なく、気まぐれ営業(笑)もあってハードルが高い事である。

実際私の姪っ子達は「行ったことが無い」ってんだから灯台下暗しである。

半ば強引に連れていき、二日続けての訪問(前日振られているのを含めると三日続けての訪問)である。
お陰で大好きな醤油ラーメンはもちろん、味噌ラーメンも塩ラーメンも堪能することができた。

彼女たちの評価は「もっと早くに来ていれば良かった」である。

新聞雑誌の持ち込みお断りとか、営業時間が短いとか、店主さんのスマイルはゼロ円じゃないとか(笑)・・・。

営業時間や価格はご自身の体力だったり、原価だったり・・・
そういうものをしっかり考えて設定していたのだろう。
価格が頻繁に変わり、値上げだけじゃなく時に値下げをしたりもしていたから立派だと思う。

写真は2005年頃。創業23年と書かれている。

この当時は500円だったが、そのちょっと前は400円で提供していた。
そういえば、さらに午前割りなんてのもあってさらに50円割引だから350円で提供していた時代もあったから驚き!

もっとも確か当時は11:30営業開始だから、午前割りと言っても30分だけの時間限定だけどスゴイと思う。

良くも悪くもいろんな意味でツッコミ処は少なくないし、ハードルも高くて慣れないと緊張するお店でもある。

それでもこのお店の味と雰囲気は大好きだったし、私にとって大切なお店だった。
新札幌の誇るべき名店・・・。

オヤジさんはまだまだ元気なように見受けられたけど、確かに計算するとそれなりにご高齢にはなられているはず。

いつもワンオペで頑張っていて、低価格で美味しいラーメンを提供し続けてくれたこのお店。

大切なお店の灯がまた一つ消えるのは悲しくて残念ではあるが、感謝するしかない・・・。

なんとなく理屈っぽい記事になってしまったが・・・あと数日、できる事なら最後にもう一度行きたいところだ!

DATA
さっぽろラーメン 北の大地
北海道札幌市厚別区厚別中央2条5丁目6−6-2F
新札幌名店街1号館

「今日の一言」
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    忘れがち