今日も暑い札幌の朝の出来事(寸借詐欺老婆との出会い)
今日も朝から暑い札幌。
会社の近くの大通り公園は夜はビアガーデンで賑わっている。
その大通公園の交差点にたたずむ一人の老婆。
交差点を渡ったところで声をかけられた。
小さな声で
「すみません・・・」と。
何か困っているのかなと思ったら、カバンをごそごそと探りながら
「〇×△※がなくて・・・」
と小さな声。
私には
「お金が無くて」
と言ったように聞こえた。
てっきり寸借詐欺の手合いかと思った。
よっぽどスルーをしようかと思ったが少しだけ話に付き合うのも悪くないと思いながら老婆の動きを見ていた。
カバンから取り出したのは、ジップロック的な袋に入れられたカードケース。
カードケースの表装は和柄の上品なものだったので
(寸借詐欺にしてはきちんとしているな)
とは思った。
開いたカードケースの左側には年金手帳。
「あーなるほど・・・"年金生活なんです"という同情と"名前を提示して安心させる"って手口か」
なんて思いながらその所作を見ていた。
(こんなおばあさんがこのクソ暑い中寸借詐欺なんて・・・。世も末だなぁ)
そんな風に思った。
ところが!
取り出したのは年金手帳ではなく、カードケースの右側の病院の診察券。
再び老婆が口を開く。
「ここの病院の場所がわからなくて・・・」
「え・・・」
「何人にも声をかけたのですが、教えていただけなくて・・・」
と。
寸借詐欺?
とんでもない!
そんな風に思ってしまった汚れ切った自分の心が悲しい!
世も末なのは俺の心じゃないか!
場所は自分も良く知っている、道路を挟んで向かい側の昭和ビル。
交差点を何度も何度もウロウロとしたが良くわからなかったらしい。
実際道路を渡っても道路の端に立っていると街路樹に隠れてビルの看板が良く見えない。
おばあさんにビルの場所を教えるも、そのビルは入り組んでいて、乗るエレベーターによってはわかりにくいことは私も良く知っていた。
失礼なことを思ってしまった自分の罪悪感・・・せめてもの罪滅ぼしの意味でもそのおばあさんを病院まで案内することにした。
歩きながらそのおばあさんに話を聞くと
・何人にも聞いたがわからないと言われた
・炎天下にもう一時間ぐらいこの辺をウロウロしている
・この病院には何度か来ているけど毎回迷っている
と小さな声で教えてくれた。
ビルの上階の病院の前に到着すると老婆の顔が初めて笑顔になった。
「本当に親切にしていただいて助かりました。」
と、私がエレベーターに乗るまで何度も何度も頭を下げながら見送ってくれた。
(私はあなたの事を疑っていたんですよ!
そんなに笑顔を向けないでください。
見送りなんていいから早く涼しい院内に入ってください。)
そう思いながらちょっとひきつった笑顔でおばあさんと別れたのだった。
たまには日常のちょっとした出来事をブログにしてみました。
今日も明日も暑い札幌。
汗で肌はドロドロだし、気持ちはイライラ・ギスギスしがちだけど・・・。
心だけはキレイに生きたいものだ。
「今日の一言」
熱帯夜
せめて心は
涼しげに
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