5年前のとある出来事~その14 病室での暮らし~
入院中の病棟での事も少し書いておこうと思う。
病室は個室があてがわれた。
確か「仕事で電話をしたりパソコンを使ったりする」と告げたらあっさり個室を振り分けてくれたのだったと思う。
生きる気力の無かったICUにいた時に聞かれているはずだからその時点では「仕事をする気」などあまりなかったように思うが、個室を使っているという事はそんなやりとりがあったはずだ。
個室に移って数日はベッドから降りることも禁止だったが、トイレと洗面所の使用は許されていたように思う。
「思う」と書いたのは「気力や元気」が根こそぎ奪われていて、個室に移ってからもしばらくは思考能力も記憶力も停止状態になっていたからだ。
考えようによっては殺風景な見た目を除けばちょっとしたホテルと変わらないと思うようになったのは退院間近になってからだった。
個室はパソコンも携帯もOKだった。
気力が戻り始めてからは仕事の連絡もできたし、自宅のPCに接続することもできたので不便ではなかった。
当時は今のようにAmazon PrimeやNetflixなどの動画配信サービスに加入していなかったので、もっぱら自宅マシンの中に入っている動画を見ていたように思う。
それほど多くのライブラリを持っているわけではないので、見れるコンテンツは限られていたが、それでも十分に退屈しのぎにはなった。
ただ、手術の影響だろうか気力が戻り始めても、とにかく眠くて眠くて、昼夜問わずに一日中ウトウトしていたような気がする。
当然だが、ホテルじゃないのでWi-Fi環境は整っていなかった。
テザリングで接続していたが、その翌月の通信料はバカにならなかったから、ウトウトしながらもかなり長時間ネット接続をしていたのだと思う。
ベッドの上と外界とが唯一繋がる風景がこの小窓から見える小さな山の景色だった。
季節は1月だ。
札幌を出発した時には当然だが一面の雪景色だった。
もしこの小窓から見える景色が雪景色だったらもっと気持ちが滅入っていたかも知れない。
その点ではこの春の山の風景には救われた気がする。
個室に移ってすぐに気づいたのだが、この病院にはドクターヘリの発着場があるようだった。
幾度となく飛び立つ姿を見かけた。
カメラに収めようとヘリの音が聞こえるたびにカメラを用意するのだが、想像以上に速く、カメラに収めることはかなり難しかった。
数少ない写真が上の写真だ。
そうそう!この写真を見ていると病室で考えていた事を色々と思い出した。
人生についてとかこれからについてという大真面目な事も確かに考えていたが、その大半はくだらないことを考えていたように思う。
かなりくだらない思考で書くほどのことも無いのだが・・・。
そういうくだらない思考回路を記録に残すのも大切かも知れないので、次回はちょっと番外編として書いてみようかな。
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